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調べものをしに図書館へ行って、時間があまったのでぼんやりと個人文学全集の棚で背表紙をながめていた。その棚の前がいちばん閑散としていたからである。嗚呼日本文学よどこへゆく。 花田清輝全集の背表紙の題字がすばらしかった。これは一冊持っておきたいものだ。 さて、私はふだん精興社明朝がどうのこうのとわめき散らしていながら、そのじつ書体やフォントにはさほど詳しくなくて、ひらがなを見て精興社か否かがわかる、という程度のものである。三陽社明朝もわかる。でもいわゆる“絶対フォント感”なんてのはとても持っていない。 だがしかし、「梶井基次郎全集」という文字には、漢字だけであったのにもかかわらずピンときた。これは精興社だと。 本を開いたら果たして正解であった。全三巻のうちの第一巻の奥付には「昭和四十一年四月二十日発行」「印刷社 白井倉之助」「印刷 株式会社 精興社」と書いてあった。面倒だから新しい字体で入力してしまったが、実物は恭しくそして威風堂々とした正字である。精興社の「興」は、これは現行の出版物でも同じだが、中央の「口」が「コ」になった一画少ない「興」の字である。発行は筑摩書房。 漢字だけで精興社明朝であることを見抜いた自分へのご褒美として、古本屋で第一巻を買った。活版印刷である。版面がぼこぼこしすぎていない上品で丁寧な印刷である。精興社の組版である。布表紙で、なに色と呼ぶのだろうか、柿色を深くしたような上品な色。見て美しく、触りがいがある。撫でがいがある。においもいい。 この本は、見る・触る・撫でる・においをかぐといった楽しみ方ができる逸品であるうえに、なんと小説が読めるという特長がある。梶井基次郎の代表作である「檸檬」や「檸檬」や「檸檬」、そして「檸檬」などが読める、うれしい特典付きなのである。 収録作品を東京都立図書館のデータベースから収録作品をコピー&ペーストしてみよう。 内容:作品 檸檬.城のある町にて.泥濘.路上.橡の花.過古.雪後.ある心の風景.Kの昇天.冬の日.蒼穹.筧の話.楽器的幻覚.冬の蝿.ある崖上の感情.桜の樹の下には.愛撫.闇の絵巻.交尾.のんきな患者 習作 詩二つ.小さき良心.不幸.卑怯者.大蒜.彷徨.裸像を盗む男.鼠.カッフェ-・ラ-ヴェン.母親.奎吉.矛盾の様な真実.瀬戸内海の夜.帰宅前後.太郎と街.瀬山の話.夕凪橋の狸.貧しい生活より.犬を売る露店.雪の日.汽車 その他.凧.河岸 一幕.攀ぢ登る男 一幕 編者註(淀野隆三) 後記 「檸檬」だけではなかった。楽しみである。
by macondo
| 2017-01-11 05:17
| 本
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