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多摩川沿いに遊歩道があって、自転車専用ではないのだが多摩川サイクリングロードと呼ばれている。通称「多摩サイ」。 多摩サイを上流に向かって走っていき、昭島市の、もうすぐ福生市に入るというところに、蛇口を三つ備えた手洗い所があって、恰好の休憩所になっている。顔を洗ったり手を洗ったり口をゆすいだりうがいをしてたりすると、誰かが止まって、えてして自然に会話が生まれる。「暑いっすね」「かっこいい自転車っすね」とか。 今日はジョギング中の男性に話しかけられた。 「どこまで行ったんですか?」 「羽村です」 「ほう。どちらから?」 「国分寺です」 「え? 何キロあるんですか」 「往復でちょうど60キロです」 「それはすごい」 「いえいえ。自転車なので楽です。走るよりずっと楽です」 その男性はマラソンが趣味で、その日は20キロのコースを走っているとのことだった。聞けば年齢は80歳。どう見ても60歳くらいにしか見えない。 80歳のおじいさんは私を見ながらこう言った。 「それにしても立派なカラダをしてますね」 「いやいや、見かけだけです。内臓脂肪いっぱいです」 「いやあ、すごいですよ。肩幅は広いし、太ももも太い」 「本当に見かけだけなんです。体力ないです」 「家族はいらっしゃるの?」 唐突に何を訊くんだろうとちらりと思ったが、 「はい。嫁さんがいます」 「お子さんは?」 「いません。二人暮らしです」 「それは寂しいじゃない」 「んー、いたらいたでなにかと面倒でしょうしね」 「僕はね、一人なの。ずっと独身。80まで独身」 どう答えるべきか一瞬迷ったが、 「それは気楽でいいですね」 「うん。あのね、僕、女が嫌いなの。女よりあっちが好き」 まさかのカミングアウト。 口調が徐々に女性的になってきていることにこの段階で気づいた。 「女は面倒くさいですもんね」 と答えるしかなかった。 その後は、今日みたいな暑い日は水分補給が本当に大切だとか、瞬発力を生む筋肉と持久力を生む筋肉との違いとか、土日の多摩サイは混んでて走りにくいですけど平日は空いてていいですねとか、そういう話をした。 最後におじいさんはこう言った。 「僕、いつもここを走ってるから、またお話しましょうね」 「はい」 「よろしくね」 「あ、はい。こちらこそ」 モテモテ。
by macondo
| 2012-07-04 23:59
| 自転車
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