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上は『チボの狂宴』(作品社、2010年12月)。 下は『嘘から出たまこと』(現代企画室、2010年2月)。 昨年のノーベル文学賞を受賞した Mario Vargas Llosa の作品。 Llosa(LLOSA)のカタカタ表記が「リョサ」と「ジョサ」とに分かれている。 ギョエテとは俺のことかとゲーテいい という有名な川柳を引用するまでもなく、 外国語をカタカナで書くのは難しい。 でも Llosa は「リョサ」でいいでしょう。 というか、どちらかに統一しないとダメでしょう。 姓は「バルガス=リョサ(またはバルガス=ジョサ)」だから、 書店の海外文学コーナーの「バ行」の棚に行けばいいんだけど、 商品知識のない書店員なら、リョサ(またはジョサ)を姓だと判断して、 リョサはラ行、ジョサはサ行に並べてしまうかもしれない。 「リョサ」では時々検索するんですが、 まさか「ジョサ」の本が出てるなんて思わなくて、 実は今年に入るまで『嘘から出たまこと』が出ていたことを知らなかった。 リョサの邦訳を一番たくさん出している新潮社はリョサ。 新潮社の『緑の家』を復刊した岩波文庫でもリョサ。 集英社が『ラ・カテドラルでの対話』を出した時はジョサだったが、 その後『ラテンアメリカ五人集』というアンソロジーを出した時はリョサになった。 国書刊行会の『小犬たち・ボスたち』その他も、福武書店の『継母礼讃』もリョサ。 筑摩書房の『果てしなき饗宴』も河出書房新社の『楽園への道』もリョサ。 つまり、「ジョサ」を使っているのは現代企画室だけ。 出版社のこだわりなのか。翻訳者の意固地なのか。よくわからない。 「訳者あとがき」にも「ジョサ」という表記にした理由は書かれていない。 ま、多数決が常に正しいとは限らないということは、 第二次世界大戦や今の民主党などが示しているわけですが、 そもそもスペイン語の「Llo」の発音は「リョ」なのか「ジョ」なのか。 この動画の音声を聞く限り「リョ」のほうが近い。 でもよく分からないので、 外務省所管の独立行政法人、JICAに勤めている何でも知ってる従弟(京大出身)に、 「リョサとジョサ、どっちが本来の発音に近いの?」 と幼稚園児みたいな質問をしたら、 「国や地域によって違うんだけど、 リョサの母国のペルーでは『リョ』、 メキシコなんかだと『ジョ』になる(と思う)」 というたいへん的確な答えが返ってきた。 ほーら、ほーら。 現代企画室は売れそうもない本をコツコツ出してる出版社だから大好きなんだけど、 このへんはぜひ妥協してほしい。 装丁も残念。 ワードアートみたい。 イラレとフォトショの知ってる機能を全部使いました、って感じで悲しい。 でも内容は面白いはず。 小説ももちろん文句なしに面白いけど、 『果てしなき饗宴――フロベールと『ボヴァリー夫人』』を読んだ時の衝撃は 20年以上以上経った今も鮮明に覚えている。 『ボヴァリー夫人』を微に入り細に入り論じて、 「文学評論ってのはこんなに面白いのか!」と感動したものだった。 これを読むと『ボヴァリー夫人』を熟読したくなり、 『ボヴァリー夫人』を熟読すると、また『果てしなき饗宴』を熟読したくなるという 素晴らしいスパイラルに陥ったものだった。 そんなリョサが書いた書評集だから、面白くないはずがない。たぶん。 * * * 『緑の家』が岩波文庫から復刊されるという記事を書いたあと、当然発売日に買った。 背表紙は岩波文庫に準じていたものの、ジャケットのデザインはイラストで、 帯無しで発売された。 しかし! その2ヶ月後にノーベル賞をしたら、 岩波書店は「ノーベル賞受賞!」という帯を付けた。 それを書店で見た時は倒れそうになった。 帯が欲しい。 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』の第1部と第2部が出た時も 最初は帯が付いていなかったのに、 読売文学賞を受賞したら「読売文学賞受賞」という帯が付いた。 あの時も倒れそうになった。 帯が欲しい。
by macondo
| 2011-01-05 02:43
| 本
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